ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

マンガ

『漫画家本SPECIAL スピリッツ本』川崎ぶら (監修), 輔老 心 (著),少年サンデーコミックススペシャル ,2020ーー雑誌の始まりと終わり

私は昔はスピリッツ子だったので,購入しました。勢いのあった創刊から週刊化までのことが多く書かれているのが嬉しい。昔「スピリッツ」が個人的なナンバー1の雑誌だったときがあったので,田舎で売れている「ヤンマガ」のほうが売れていると知ったときはシ…

『漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》』狩撫麻礼を偲ぶ会、双葉社、2019ーー土岐が探偵事務所を開く理由は

Amazonでおすすめされるまで気が付かなかった狩撫麻礼氏の追悼本で、ファンならばまったく損をしない充実した編集になっています。ちょっとこれ以上の追悼本は思いつかないくらいです。 かわぐちかいじ、江口寿史、松森正、大根仁のインタビュー・追悼の文章…

『マイホームヒーロー 第1巻~第7巻』山川直輝原作、朝基まさし作画、ヤングマガジンコミックス、2017~2019ーー先読みをまったくさせてくれない作品

私が歳をとったせいだろうか、主人公に共感してしまって、連載の1回めから目を離せない作品。とともに、先読みをまったくさせてくれない作品。少々ずるい部分もあるけれど、読者に先を読ませないためには、こうすればよいという見本を見せてくれる。 40代の…

『BLUE GIANT SUPREME (6)』石塚真一、ビッグコミックススペシャル、2018

最近、大人買いしました。一種の天才物語ですね。天才物語といえば、山岸凉子氏や曽田正人氏ですが、ずいぶん異なります。それだけでも本作の意義はあります。もう少し悪人というか、清濁併せ呑むキャラクターがないのが物足りない。みな同じキャラクターに…

『空が灰色だから 1~5巻』 阿部共実,少年チャンピオン・コミックス,2013

『ちーちゃん』の他の作品を読みたいと購入したもの。ちなみに池袋の某大型書店には在庫がなかったのでネット購入です。難しいですね、なかなか。 主に中学・高校生を主役にした短編集。作家の負担の大きい、人気をとれそうもない新人作家の短編の連載を少年…

『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部 共実,少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!,2014ーー少年少女時代のすでに忘れてしまったものを思い出させる

ネット上で紹介されていて内容に興味をもったマンガで、ウィキペディアによると、「2014年に第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。宝島社『このマンガがすごい!』2015年版オンナ編の第1位作品」と評価されておりました。私はタイトルさえ知り…

『読者ハ読ムナ(笑)―いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか』藤田和日郎,飯田一史,小学館,2016――むしろ編集者が勉強になるガイドブック

藤田氏と藤田氏の初代編集者の武者氏による漫画家を目指すアシスタントへのアドバイスをまとめたもの。 新人賞を受賞した新人漫画家が編集者の紹介で藤田氏のアシスタントになったという設定で、藤田氏は若い漫画家が不足しがちであることをどのように吸収し…

『ピアノの森(26)<完>』一色まこと、モーニング KC、2015/『げんしけん 二代目の十(19)』木尾士目、アフタヌーンKC、2015

■ 『ピアノの森(26)<完>』一色まこと、モーニング KC、2015 ようやく最終巻。雑誌連載でも読んでいましたが、アレはやっぱりミスリーディングじゃあないでしょうか。 ピアノの森(26)<完> (モーニング KC) 作者: 一色まこと 出版社/メーカー: 講談社 発売日: …

『今夜、珈琲を淹れて漫画を読む:「漫画の時間」2時間目』いしかわじゅん、小学館クリエイティブ、2015

『週刊文春』などの連載をまとめたマンガエッセイ。面白いけど、一つ一つが見開きで物足りないので、もうちょっと力を入れたものが読めたらよいなあ。でも、マンガなんて重苦しくなく、このくらいで語られる方がよいのか。 それにしても、いしかわ氏は、未だ…

最近購入したマンガ

仕事が忙しいせいか、年をとったせいか、なかなか新しい才能を読むことができなくなりました。以下はどうにか購入しているマンガ。■『げんしけん 二代目の九(18)』木尾士目,アフタヌーンKC,2015 本日Amazonから届きました。これも長くなったものです。げん…

『まんが医学の歴史』茨木保,医学書院,2008

作者は産婦人科医でクリニックの院長をしているマンガ家。医学書の世界では有名な方で、ある執筆者から茨木先生に挿絵を描いていただきたいとご指名されたことがあります。というのは、ある医学雑誌で四コママンガを連載していて、それがとてもリアルで面白…

『荒木飛呂彦の漫画術』荒木飛呂彦,集英社新書,2015

『ジョジョの奇妙な冒険』の作者による漫画の描き方のマニュアル本。本書では、その内容を『「王道漫画」を描くための「黄金の道」を示しているのですが、荒木氏の作風から鑑みるに、少し違和感をもちました。荒木氏が黄金の道が大切だと繰り返し述べている…

『あもくん』諸星大二郎,幽COMICS,KADOKAWA/角川書店,2015――現代の夕暮れ怪談

10歳ぐらいの「守君=あもくん」とその父親を中心にしたショートショートホラー集。ホラーというよりも、現代版の怪談ですね。諸星氏らしい短編群です。 例えば、キャンプ場でその側にある「コトロの森」に、あもくんを背に背負って散歩に出かけた父親(名前…

『ちばてつやが語る「ちばてつや」』ちばてつや,集英社新書,2014

ちばてつや氏のデビューから今のところの最後の作品までの自作解説集。これは、たぶんですが、『ちばてつや全集』刊行の時に一冊一冊ちば氏が自作解説をおまけで付けていましたが、それらをまとめたもののようです。できればまとめることをせず、そのまま転…

『海街diary 第6巻 四月になれば彼女は』吉田秋生,フラワーコミックス,2014

もうこの歳になりますと、同じマンガのシリーズは質の高いものを年に1〜2冊発行してもらうのが、生活ペースにあいます。年1冊で6年間で6冊完結ぐらいがちょうど良いです。本シリーズはそのような理想的なペースでしたが、前の巻から本巻にまでは少し時…

『リバースエッジ 大川端探偵社 第5巻』ひじかた憂峰=作, たなか亜希夫=画,日本文芸社,2014

『湯けむりスナイパー』と同じようにテレビドラマ化されましたが、その決定が報道されたときは驚きました。本作はあまりキャラクターもドラマがなく、エピソードだけなので、テレビドラマにするには持たないと思ったからです。それでも、『湯けむり』のよう…

コミックエッセイの効用――『わが家の母はビョーキです』中村ユキ,サンマーク出版,2008/『わが家の母はビョーキです2 家族の絆編』中村ユキ,サンマーク出版,2010

てっきりタイトルから毒親関係かなと思って手に取ったのですが、統合失調症の関連書でした。このような面白いエッセイコミックを読むと、エッセイコミックがしっかり一分野として確立されてるのがわかります。親子の物語であるとともに、夫婦の物語であり、…

『漫画版 野武士のグルメ』久住昌之=原作, 土山しげる=画,幻冬舎,2014

久住氏のエッセイを原作に土山氏が漫画化した作品。久住氏といえば『孤独のグルメ』、土山氏といえば『喧嘩ラーメン』『食キング』などの店商売としてのグルメコミックです。美味しそうに食べるシーンには、喉を鳴らさせるような独特の魅力があります。その…

「特集=週刊少年サンデーの時代 トキワ荘から『うる星やつら』『タッチ』『名探偵コナン』そして『マギ』『銀の匙』へ―マンガの青春は終わらない」『ユリイカ 2014年3月号』2014

『サンデー』に興味がない人、肌が合わない人にとっては何でこんな特集が成り立つのかわからないでしょうけど、私のようなサンデーっ子にとってはよくわかるんですよ。『ジャンプ』でも『マガジン』でもなくて、やはり『サンデー』なんですよね。だから『サ…

『瓜子姫の夜・シンデレラの朝』諸星大二郎,Nemuki+コミックス,2013/『夢見村にて――妖怪ハンター 稗田の生徒たち (1)』諸星大二郎,ヤングジャンプコミックス,2014

久々に『瓜子姫の夜・シンデレラの朝』『夢見村にて――妖怪ハンター 稗田の生徒たち (1)』と諸星大二郎2冊。「瓜子姫」の投げっぱなしラストには驚きました。続ければ面白そうな感じがしただけに残念。「夢見村」は妖怪ハンターシリーズのスピンオフ。まあ普…

『失踪日記2 アル中病棟』吾妻ひでお,イースト・プレス,2013

『失踪日記』の続編です。アルコール依存症によって入院してしまった日々を詳細に淡々と描いています。一つ一つのコマにリアルな表情、仕草、時間経過などがきちんと描かれているため情報量が多く、読み終えるのに時間がかかりました。患者は入院中は暇にし…

『愛…しりそめし頃に… 12』藤子不二雄A,ビッグコミックススペシャル,2013

少し唐突のような気がしますが完結してしまったのですねえ。残念です。私にとって最も怖いマンガは『まんが道』の連載を次々と落としたところなんですよねえ。一時期はそのエピソードは飛ばして読んでいたくらいです。愛…しりそめし頃に… 12 (ビッグコミック…

『海街diary 5 群青』『宇宙兄弟(19)』

今年最後の更新は、今年印象に残ったマンガということで、今更感のが高いのですが、以上の2作品を挙げます。2作品とも構成が素晴らしく作者の掌に喜んで乗ってしまいました。『海街』は向田邦子の作品を、『宇宙兄弟』はちばてつやの作品を思い起こさせます…

『リバースエッジ大川端探偵社 4巻』ひじかた憂峰, たなか亜希夫,日本文芸社,2012

9本の短篇が収録された短編集。依頼人がいて、探偵が依頼を引き受けて調査して、その結果を示す。探偵は、自らのコードを守りつつも、控えめに依頼人(クライアント)第一に行動する。一種の様式美であり、それが心を打たせます。ミステリ好きでしたら、逃す…

『わたしの少女マンガ史――別マから花ゆめ、LaLaへ』小長井信昌,西田書店,2011.

本書の著者は『別冊マーガレット』『花とゆめ』『LaLa』『ヤングアニマル』『MOE』などの編集長、編集担当役員をつとめた方で、自らの編集者としてどのように関わってきたか回顧したエッセイ風ノンフィクション。もっと詳細に知りたいと感じさせるぐらい面白…

『10年メシが食える漫画家入門――悪魔の脚本 魔法のデッサン』樹崎聖,講談社アフタヌーン新書,2009

偶然、Amazonのレビューを読んで、あまりの絶賛の内容に興味を持っていた新書です。先日、近場のブックオフで新書の棚を総ざらいしていたら、タイトルが目に飛び込みました。 全二章の構成になっていて、第一章が「悪魔の脚本術」、第二章が「魔法のデッサン…

『バクマン。』など

■『バクマン。 10巻』小畑健, 大場つぐみ,集英社,2010/10 連載会議のシーンが興味深い。今までに連載が立ち上がるシステムは説明されていましたが、決議が覆されるところなどドキドキしましたね。バクマン。 10 (ジャンプコミックス)作者: 大場つぐみ,小畑…

『まんが学特講――目からウロコの戦後まんが史』みなもと太郎, 大塚英志,角川学芸出版,2010

みたもと太郎氏を講師として、大塚英志氏が聞き役として、大塚氏が抱いていた「トキワ荘史観」とは異なるマンガ史観を解説したもの。私も大塚氏と同じような考えをもっていましたが、本書の貸本劇画から連なるマンガ史観によって、頭の隅っこにぐにゅぐにゅ…

『さよならもいわずに』『志村貴子作品集 かわいい悪魔』

ここのところマンガばかりの感想ですね。活字も読んでいるんですけど。今読んでいるものは分厚いせいか時間がかかって、なかなか終わらないのです。■『さよならもいわずに』上野顕太郎,エンターブレイン,2010/07 新聞か何かの書評で挙げられていて頭に残っ…

『神のみぞ知るセカイ 10巻』『境界のRINNE 5巻』

■『神のみぞ知るセカイ 10巻』若木民喜,小学館,2010 この作品は何故か気になるんですよねえ。ストーリーが優れているか優れていないかを考える前に、それを超えたシンパシーめいたものをもってしまうというか……。桂馬という主人公の、まあエンタメなので極…