- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/01
- メディア: 文庫
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これは,傑作と言い切れる数少ない作品。宮部みゆき氏が「買ってね,読んでね。……今の世の中には,絶対に,こういう本が必要なんです」と解説で書かれているけど,まったく,そのとおり。
早稲田大学探検部11人が,コンゴ奥地の湖に棲息するといわれている謎の怪獣・モケーレ・ムベンベを,発見しに行った冒険記。
集団の青春物語であること,作家高野秀行氏のデビュー作であること,1998年というバブル期ど真ん中に書かれていること,これらすべての意味をもっている。
14年後の文庫化による出版にあたって,各メンバーの近況が書かれているが,この冒険が各メンバーに与えた影響(影響がなかったこと)を読むと,目の奥から押し出されそうになってしまいます。単行本のまま,後日談を読んでいない方,必読です。
もし,あなたが,今の日本で生きにくいなあと緩やかな縛りを感じている人だとしたら(若者のほとんどが当てはまると思いますが),そのうちの10人に1人ぐらいは,その縛りをほどいてみたくなりますし,そういう生き方もアリなんだと,それでいいんだと,世界が少し広く感じるでしょう。