ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『あしたのジョーの方程式』

あしたのジョーの方程式

あしたのジョーの方程式

あしたのジョー』って,名作なんですけど,謎と感じることが多いんですよね。なぜジョーはあのような行動をとったか,なんてね。といっても,私は謎本を読んだこともないし,マニアのサイトものぞいたことがありません。何ででしょうかね。興味なかったのかも。それだけのファンなのかも知れませんね。

けどまあ,この本は書店で見て,気になって買ってきてしまって,一騎じゃない,一気読みをしてしまったんです。一気読みできたのですから,面白かったことは面白かったんですが,なんというか,あまりにも骨太すぎというか,ど真ん中のテーマに対して述べているので,おおざっぱな分析だなという印象を受けます。

あしたのジョー』で,ホセ戦が,なんとなく力石戦やカルロス戦と違って見えるのは,私なんか,ジョーが青年期から大人になった試合だったからだなんて思っていましたけど,本書で語られる理由は,納得できるものでしたね。そうですね,戦っている相手が違うからだということですね。

これらのことは,もうすでに書かれているような気がするんですよね。沢木耕太郎氏がエッセイか,あるいは『敗れざる物たち』で。本が手元にないんで,あやふやな記憶ですけど。『あしたのジョー』の同時代人として。

私としては,力石と白木葉子の関係はどういう関係だったのか,知りたいですね。なんか納得できないんですよね。どうして白木葉子は力石に興味をもったのか。ボクシングジムを設立したのか(実際に設立したのはおじいさんですが)。単なる力石の実力を買っていたからなのか。そのときから矢吹丈に興味があって,そのつながりを持つために無意識的に行動を起こしたのか。その関係に対し,連載当時,愛読していた人に説得力を持っていたのか。まったく分かりません。

また,連載で読んでいるのと,後世になって読むとのとでは,感想が異なるものだなあ,というのも改めて感じましたね。私にとって,その感想が違いすぎる作品として代表的なものが,『めぞん一刻』なんですよね。まあ,どうでもいいことですが。