ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『邪魅の雫』

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

トリックといってよいのか分かりませんが,意欲作といってよいのではないでしょうか。作者が読者の騙すために何をしたかったのかよく伝わってきます。トリックそのものは,ある旧作の裏返しですね。よく裏返せたなあ。

以下,不満ばかり書いていますが,基本的に面白いです。

それでも,シリーズの中では真ん中ぐらいの出来かなあ。私は初期作が好きなので。

このシリーズには,無理に,怪談物タッチは必要ないと思うんですけど。妖怪物タッチにすると,どうしても分量が増えてしまい,無駄だなあ,もっとページ数が減らせるよなあ,と感じてしまいます。前作を読んだとき,この半分でいいんじゃないのと思いましたから。

また,初期作にあった,解決編が半分以上のミステリが読んでみたい。

あと,このシリーズって,連続殺人事件ばかりなんですね。本作を読むまで,気がつかなかったのですが。