ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『九時から五時までの男』(○)

九時から五時までの男 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

九時から五時までの男 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

スタンリイ・エリンの第2短編集。名作誉れ高き「ブレッシントン計画」などが収録されています。『最後の一壜』を読んだときも思いましたが,エリンの短編って,意外にも,それまでのストーリーをひっくり返すようなオチはないんです。

日常から地続きの異様な世界に案内され,引きづり回されたあげく,最後にもっと深い落とし穴に落ちるという感覚でしょうか。そういう意味でダールに似ているのかも知れません。

『特別料理』を読んだのは高校生の時で,「特別料理」だけしか内容を憶えていません。もっとも「特別料理」の内容とオチを憶えていますので「特別料理」は名作といえます。

本書のなかでは「倅の質問」がいちばんスリリングでした。お勧めの短編集です。