ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『涼宮ハルヒの消失』谷川流, いとうのいぢ,角川書店,2004(○)

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

このシリーズを読むとハルヒが除け者にされていて,何となく可愛そうですね。ハルヒほど面白い世界を求めている人がいないのに,ハルヒ以外の人々がそれを味わっている感じ。

また,男子高校生の一人称記述のためか,あだち充のテイストを感じさせます。少し冷めているところなど似ていますね。でも考えてみれば,そういう自分を客観視した高校生って結構いそうなもんですけど,マンガの主人公としてはあんまりいないですね。何故なんだろう。でもキョンは,皮肉屋というよりも愚痴屋ですかね。

ストーリーそのものは,『うる星やつら』のテイストが強いです。集団でワイワイしていところがかなあ。SFテイストがあるところがですかね。本書など,やはり『ビューティフルドリーマー』を思い出してしまいますものね。タイムトラベルものですから。

それに加えて,「セカイ系」ですからね。なんと言ったらよいのか,気恥ずかしいけど,この結末はまあアリかな。恥ずかしいんですけどね。

ところで「セカイ系」の元祖って,諸星大二郎の『暗黒神話』じゃないのかなあ。『エヴァ』のエンディングを見たとき,「これは『暗黒神話』と『デビルマン』だ」と思ったもんです。もしかしたら,ありふれた分析かもしれないけど。