- 作者: 酒見賢一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
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酒見賢一氏の諸葛孔明物語の第2部。まさか第2部があると思っていませんでした。てっきり,孔明の嫁取りから三顧の礼まで書かれた前書で終わりだと思っていました。私は基本的に新刊を読むことが少ないのですが,本書については,前書があまりにも面白かったので,紀伊国屋新宿南口店で見つけてすぐ購入。
第2部も非常にボリュームがあり479頁。しかし読んでも読んでも物語が進みません。私は三国志については,そうそう詳しいほどではなく,孔明が「劉備軍」(と書いてあるのです。本書のノリがわかるでしょう)の軍門に参加してから,最初の戦いが起こり,あっけなく孔明の火計によって勝つんだよなあとしかぼんやりとしか覚えていなかったのですが,なかなかこの最初の戦いに入りません。
様々な文献にあたって検証しているようで,一つ一つの出来事に対して,いちいち作者のつっこみが入ります。このエピソードはおかしいなと思ったらそのまま書いている。だから,この最初の戦いは無かったのではないかと判断した作者はそのとおり説明して書きませんでした。それじゃあ,関羽と張飛はいつ孔明を信用するのだろうと思うとそのエピソードは飛ばしています。だいたい,長坂坡の戦いなんて知らなかったよ。
面白かったのは,関羽の短所をきちんと説明しているところですね。関羽は武士(でいいのかな? 武将が正しいんだっけ?)として,礼も尽くすし,メチャメチャ強い。一方,張飛は,メチャメチャ強いけれども,短気な性格とちょっと頭が弱く酒好き(アルコール依存症)であまりよく書かれていません。でも本書では,関羽の戦いにおける自分で勝手に判断してしまうので,孔明は戦いによっては関羽を中心におかなかったのではないかと分析しています。
まあ,面白かったけど,ちょっと繰り返しの説明が多いのと,話がゆっくり過ぎるので,第3部はもうちょっとスピーディにして欲しいところです。でも,無理かなあ。