ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『藤子不二雄(F)まんがゼミナール』藤子不二雄(F),小学館,1988-07(○)

 ブックオフで新書コーナーをあさっていたら偶然見つけた一品。藤子・F・不二雄のことを知るのに必読の文献ですね。私は本書が発行されていることすら知りませんでした。てんとう虫ブックスですので,小学生向けにマンガの描き方を解説しています。目次は以下の通りです。

はじめに まんがをかくのは楽しいぞ
第一章 まんが作りは映画作りと同じだ
第二章 まずまんがノートを作ろう
第三章 さあ,俳優募集(キャラクター作り)
第四章 ロケハン(舞台さがし)に出かけよう
第五章 きみはカメラマンだ
第六章 シナリオを作ろう(物語発想法)
第七章 空想を広げよう(SFX入門)
第八章 クランクイン(撮影開始だ)
第九章 さあ,プロをめざしてがんばろう!

 とにかく,「まんがを描くのは楽しい」「まんがを描くということは映画作りと同じだ」ということを一貫して書かれています。そして,まんがノートの効用やどのようにアイデアを出していくか,描き進むためにはどうしたらよいか,シンプルですが丁寧に藤子F先生の方法を解説しています。とくに「まんがノート」を用いては,「?キャラクターの顔や手足を入れかえてみる(バランス感覚を養う),?秘密地図や秘密基地の構造図をかく(ウラ設定や物語の構成力を養う),?まんがしりとり(いろいろな絵を即座に,自由自在にかく能力を養う)」などのほかに,リレーまんが一人が一コマをかいてリレーのように続ける),まんが絵ハガキ,まんがクイズなどを紹介しています。いかにも,藤子F先生らしいなあと感じますね。

 その他に第八章では,ドラえもんの一編をもとにどのように物語を組み立てていったか,具体的に説明しており興味深いですね。また,第九章では,「おもしろがらせることは大変な作業」「「人気」は時代によって変わる」「「人気まんが」のかき手は,ふつうの人」などマンガ家になるための大切な指南をされています。