ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『タイタンのゲーム・プレーヤー』フィリップ・K. ディック,大森望訳,東京創元社,1990-03(○)

タイタンのゲーム・プレーヤー (創元SF文庫)

タイタンのゲーム・プレーヤー (創元SF文庫)

 先日読んだ『奇術師』がやけに面白かったので,もう一度そのテイストを味わいたいなあと思って,未読の本棚から手にとったのが本書。『奇術師』ほどではなかったけど,そのテイストは味わえました。

 ディックの作品は結構読んでいるんですが,ストーリーはほとんど覚えていないんですね。というよりも覚えられません。『ザップ・ガン』なんか,途中まで読んで「あれ,これ読んだことあるような」と感じたぐらいでした(それでも最後まで読みましたけど)。本書も,そんな一つになるでしょう。それでも,ディック特有の現実感覚の消失はとてもおいしいものです。