ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『フリーターズフリー vol.1』フリーターズフリー,2007-06(○)

 「フリーター問題」を中心とした「働くことを考える」非常に刺激的な雑誌です。私の基礎知識が不足してあることもあって,不明な用語などを駆け足で読んでみました。他の雑誌にはない「時代に寄り添った」「切実さ」と「地に着いた」感じが残りました。

 私自身も,大学を卒業し,いったん就職したものの,その会社は社員をボロボロになるまで使い古す会社で,心を若干病むことになってしまいました。その後,アルバイト(フリーター)として1年間ぐらい働き,その後きちんと就職したわけで,その就職〜アルバイトの期間は,自分ではその後のキャリアになるようにある程度計算して選んだのですが,将来がまったく見えず,不安で不安で目の前は真っ黒でした。

 だから,現在,就職氷河期世代が受けている不安感が,十全ではないものの,少しは理解できます。しかし,普通に就職し,普通にボーナスをもらっている人には,その不安感はまったく理解できない。会社で,同年齢の女性に,この構造的な労働問題について,フリーターは過酷な労働条件につかされていることを説明したところ,返ってきた答えは「だって,そういう道を選択したんじゃないの。だからしょうがないじゃない」というものでした。これが,世間の見解の一つなんでしょうね。悲しい気分になりました。

 とにかく,既得権益を持っている人たちから引っぺがさなければ,この状態は好転しないでしょう。それには,どうしたらよいのか。やはり声をあげることなのでしょうか。

   ★

 それにしても,この雑誌では「労働」しか扱わないのでしょうか。他にも,いろいろな問題を扱えるような気がするのですが。