ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『笑う警官』佐々木譲,角川春樹事務所,2004→2007-05(○)

笑う警官 (ハルキ文庫)

笑う警官 (ハルキ文庫)

 平成16年に『うたう警官』というタイトルで出版された警察小説を文庫化の際に改題したもの。あとがきで,スウェーデンの作家マイ・シューヴァルとペール・ヴァールーのマルティン・ベック・シリーズのような警察小説をという依頼を受けてのものと書かれていたことに興味を持ちました。マルティン・ベック・シリーズはすべて読んでいたので,その世界がもう一度味わえるならと。

 それにしても,『このミステリーが凄い』発刊前,あるいは新本格ミステリ以前のミステリが忘れられすぎているような気がする。連城三紀彦氏など再評価されていて日本ミステリはまだしも,といえます。しかし,海外ミステリについては忘れられているような気がします。マルティン・ベック・シリーズやルース・レンデルなど,メチャメチャ売れていたのになあ。

 といいつつも,本書は,マルティン・ベック・シリーズには似ていません。インスパイアされたに過ぎません。もっと,エンターテイメントしていますね。これは,スウェーデン人と日本人の違い,警察組織の違いなんですかね。いや,文体の違いですね,たぶん。