- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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桐野夏生氏の直木賞受賞作。ミステリというよりも,普通小説に近い。
夫の友人である石山と不倫をしているカスミは,その石山の招きで北海道の別荘に夫婦娘一家で招かれる。その別荘は湖畔にあり,管理人以外ほとんど人がいない。そこで,5歳の娘が謎の失踪をした。罪悪感にかられたカスミは,それから娘を捜すことに執心する。また,事件の関係者の運命も少しずつズレ始める…。
ストーリーそのものは非常に暗く地味なのですが,じわじわ動くストーリーテリングが上手く,読者の目を離すのを許しません。ラストシーンは,そうかもしれないなあ,と少し考えていたとおりでしたが,もう一度読むと,犯人がわかるようになっているんですかね? それとも犯人は謎のままなんでしょうか? (そのためにもう一度読み返す気力はありません,すみません)
それにしても,桐野氏の作品はいつの間にか売れるようになっているんですねえ。空港の小さな本屋さんの文庫売り場に『グロテスク』とともに上下巻とも面出しで置かれていました。新刊以外でそういう作品はありませんでした。