hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

『毒入りチョコレート事件』アントニイ・バークリー,高橋泰邦訳,東京創元社,1929→2000(○)

 謎解きミステリのオールタイム・ベストに常にあげられるアントニイ・バークリーの傑作長編。サブタイトルに「理論的推理小説」と付けられています。原著タイトルにはないので,翻訳したときに付けられたようです。内容はというと,「理論的推理小説」そのままなんですけどね。バークリーにおなじみの謎解きミステリに対する皮肉がよく効いている作品です。

 ユーステス卿のところにチョコレート製造会社から新製品のチョコレートの試食を求めてきた。チョコレートが好きではないユーステス卿は,友人であるベンディックス卿にそのチョコレートを気軽にあげた。そのチョコレートは毒入りチョコレートだったのだ。それを3つ食べたベンディックス卿は倒れ,7つ食べたベンディックス卿の夫人は死亡した。チョコレートを送った者は誰なのか,まったくようとしれない。この事件にさじを投げたスコットランドヤード。その事件の解明を6名で構成される犯罪研究会に依頼した。その6名一人一人は事件を推理する。しかし,一人が推理すると,他のメンバーが異なる推理をする…。決定的かと思われたシェリンガムの推理も覆される。一つの事件にいくつもの推理がされる。いったい真実は何なのか?

 というストーリーですが,ラストシーンで,「ある種」驚愕の結論が出されます。私は「えっ,そんなのあり? もう終わりなの?」と思ってしまいましたが。

 あと,本書を読んで,最初に事件が紹介されて,おのおの登場人物が推理をえんえんと行う,推理をしながら新しい証拠が出されるところが京極堂シリーズの初期作品,例えば『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』などを彷彿とさせました。といっても,発行順からいって逆なんですけど。