ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『梟はまばたきしない』A・A・フェア,田中小実昌訳,ハヤカワミステリ文庫,1942→1979(○)

 E・S・ガードナーがA・A・フェアのペンネームで書いた私立探偵バーサ・クールとドナルド・ラムを主人公とした「クール&ラム」シリーズの第6作目。

 ニューヨークの弁護士ヘールは,広告のモデルをしていたが3年前にニューオリンズで失踪したロベルタ・フェンを探す依頼調査を「クール&ラム」探偵社に依頼した。フェンの失踪した理由は,ヘールによると誰に訊いてもわからないらしい。ラムは,フェンの足取りを追って,ニューオリンズにやってくると,フェンはエドナ・カスターという名義でホテルをとった後,消えてしまったとのことだった。

 ラムは,フェンの写真をもって,ホテルの周囲の聞き込みを始めると,あるクリーニング屋で知っているという。それを追っていくと,銀行の支店長の秘書をしているフェンを見つけることができた。それをクールと話していると,マルコ・カトラーという男が,3年前に失踪した妻と離婚の手続きととるために妻を見つけにきたという。

 翌日,バーサとラムがフェンを尋ねてアパートのドアを開けると,ピストルで胸を撃たれた男の死体があった。男は若い弁護士ノストランダーで,フェンは再び失そうしてしまった。否応なく殺人事件に巻き込まれてしまったのだが,殺したのは誰なのか,フェンなのか,フェンとエドナ・カスターとの関係は何なのか。ラムはフェンを再び探すのだが…,

 冒頭からきわめてハードボイルド色が強い作品です。ストーリーもなかなか手が込んでいて,一度読んだだけではよくわかりません。行きつ戻りつしました。結末もちょっと意外です。