ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『血の絆』エド・マクベイン,井上一夫訳,早川書房,1975→1988(○)

血の絆 (ハヤカワ・ミステリ文庫―87分署シリーズ)

血の絆 (ハヤカワ・ミステリ文庫―87分署シリーズ)

 87分署シリーズ第28作目。シリーズのなかでは水準作でしょう。

 雨が降っている深夜,二人の少女がナイフで襲われた。一人は,パトリシアといって右頬と両手の掌と指を切られ血を流して,雨の中警察に逃げてきた。もう一人は,ミュリエルといって廃屋の安アパートの戸口のすぐ外に胸や顔,口などにナイフでされた傷から血だまりができるほど血を流して死んでいた。二人はいとこでパーティからの帰りに襲われたようだった。殺人捜査の担当となったキャレラは,科研の担当者と殺人現場の科学的調査を始め,殺人に使用されたナイフを探したり,性犯罪者を探して片っ端から尋問を行ったりした。そこでアリバイがない元性犯罪者を捕まえ,パトリシアに面通しを行ったのだが,彼女は別人を選んだ。捜査は難航されると思われたのだが,なんとパトリシアが殺人犯を兄であると供述をしたのだった…。

 いろいろ説明するとネタバレになってしまう作品でした。しかし,現代日本でしたらあの結末は無理でしょうね。編集者に変更させられるかもしれません。