ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『冷たい密室と博士たち』森博嗣,講談社,1996→1999(○)

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

 初森博嗣であります。今まで手にとらなかった理由としては,なんというか漠然としたものなんですけど,リリースされる作品数を見ますと,粗製濫造なんじゃないかなあと感じていたのと,私のように何かをするとき何もせずにネットを見ていたり,ウダウダしてなかなか始めない,ダメ人間からすると対極にある世界にあるんじゃないか,とおびえていました。軽い拒否感があったわけです。

 まあ,そんな人間が今回読んだ理由はといいますと,書店で何となしに森博嗣氏のミステリベスト100を解説したエッセイ集を立ち読みしたところ,クイーンやカー,クリスティなどオーソドックスな作品を選んでいたこと,デイヴィッド・ハンドラーを3作も選んでいたことです。私はハンドラーが好きで,古書好きのくせに最新作以外はすべて読んでおり,なぜもっと売れないのだろうといぶかっており,まあ同類意識みたいなものが働いたわけです。

 内容ですが,極めて普通の密室殺人ミステリ(本書風にいえばミステリィ)で,普通に楽しめました。最初,視点がぶれていて少し戸惑いましたが,硬筆な文章で,結構時間がかかりましたね。でも,ところどころライトノベルのような感じがしましたが…。このレベルのシリーズでしたら,今後はまるかも知れません。