ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『墓場貸します』カーター・ディクスン、斎藤数衛訳、早川書房、1949→1980(○)

 1906年生まれで1977年没ですから、カー43歳の時の作品で中期といってよいでしょう。プールに飛び込んだ人間が消失してしまった不可能犯罪をヘンリー・メリヴェールが推理したもので、いつものカーらしい作品。そういう作品が好きな人にお勧めです。冒頭で、クレイトン・ロースンに捧げられています。
 ヘンリー・メリヴェール卿は、招待されてアメリカ・ニューヨークにやってきた。実業家のフレデリック・マニングは彼を招待したところで、自らが明日から消えることを予告して、その次の日、プールに飛び込んで再び浮かび上がってこなかった。警察を呼んでプールの底を探したが、果たして見つからなかった。彼は消失してしまったのだ。
 そのマニングは、その後、屋敷のなかの野球場の外れにある墓場で、ナイフで刺されて、重体で発見された。彼はどのようにして消えたのか、どのようにして移動したのか、その犯人はいったい誰なのか、HM卿が推理に挑む。
 トリックは、共犯がいたりして、あまり意外性はありませんでした…。