hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

 『ブロンドの鉱脈』E・S・ガードナー、高橋豊訳、早川書房、1962→1986(○−)

ブロンドの鉱脈 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ブロンドの鉱脈 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

■詐欺師を追いつめるメイスンだが…

 ペリイ・メイスン・シリーズ全82作のうちの67番目の作品。だから結構後期といえる。でも、ガードナーは本シリーズだけでも、1962年に長編を4作も発表している。まだまだ筆力が衰えてはいません。

 メイスンの秘書デラ・ストリートが2週間の夏休暇を過ごしているピーチに、仕事帰りのメイスンは立ち寄った。なんとミステリ(謎)を用意してくれているという。そのミステリとは、放漫な肉体をもった一人の若い金髪女が、この2週間大量の食事をとって、みるみるうちに太っていっているという。その女ダイアン・アルダーに聞いてみたところ、モデル事務所との契約で太り続けていると、その分毎週100ドルとファッションモデルの仕事がもらえるという。

 その契約に不信を感じたメイスンは、契約書を取り寄せてみると、ダイアンの遺産をだまし取る契約書ともいっていいものだった…。早速、ダイアンのこととそのモデル事務所のことを調べ上げる。その後、ダイアンのもとへ、その契約破棄の文書が郵送されてきた。どう考えても、行方不明の相続人を狙った詐欺事件や脅迫事件、そして殺人が起きた…。

 うーん。犯人役を関係者ではない私立探偵にするという設定は、ガードナーの意図はわかるけど、伏線がバレバレで、まさかこんなバレバレなのが犯人じゃないよなと感じさせるから、小説としては失敗かな。けど、映像ドラマにしていたなら、結構、良品と評価されると思う。まあ、そういう犯人だったというわけ。

 そういえば、「本の雑誌」2007年10月号の「特集 いまニッポンの文庫はどうなっているのか!」で、各社文庫の第一回配本の非絶版率を調査していたところ、ハヤカワミステリ文庫が、30冊のうち27冊を購入出来る状況で、生存率ナンバー1とのことだった。けど、その絶版3冊のうち1冊が、『どもりの主教』。

 海外ミステリの元祖ライトノベルがガードナーだと思うんだけど、もうガードナーが読まれることはないのかなあ。

 「私は長年の経験から得た知識を駆使して大量の商品を製造できるフィクション・ファクトリー(小説工場)なのです」(本書あとがき「E・S・ガードナー小伝」より)