ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『流言とデマの社会学』広井 脩、文藝春秋、2001

流言とデマの社会学 (文春新書)

流言とデマの社会学 (文春新書)

 流言とは「社会に流通する虚偽の情報ないし誇張された情報」という意味で、本書は、「外国人労働者が夫を木にしばりつけ、妻に乱暴していた」「イラン人が集団で主婦を襲い暴行する」というような外国人労働者暴行流言、阪神・淡路大震災後の「地震再来流言」が、どのような心理的ダイナミズムで伝わっていったかを記した入門書。

 流言とデマとうわさでは異なる。心理学的にみると、「不安流言」「恐怖流言」「分裂流言」「願望流言」があるという。社会學的にみると、情報の需要と供給のバランスが崩れたときに発生する、集団の共同作業(分業)によって作られる、という。