ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『ローマ人の物語(3)(4)(5)―ハンニバル戦記(上)(中)(下)、塩野七生、新潮社、1993→2002(○)

ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) (新潮文庫)

■古代の武将たちの戦いを描く
 イタリア半島を統一したローマとカルタゴの戦争―ポエニ戦争(本書では、ポエニ戦役と表記されている)についての物語。ハンニバルとは、カルタゴの武将であり、イタリア半島内でローマに戦争をしかけて、一時はローマまで迫ったものの、ローマの執政官スキピオによって破れます。
 とにかく、筆者の書き方は、他の作品と変わりなく、豊富な文献を駆使して、起こったと思われる事実を取捨選択して、極めて客観的になっています。それを物足りないという人もいるでしょう。なにせ、本書の中では、ハンニバルどころか登場人物の肉声はまったくありません。あるのは、文献としてきちんと残されているものからの、引用だけです。ハンニバルがどのような姿なのか、性格なのか、よくわかりません。とてつもなく、知力にあふれた武将だというだけです。
 そのため、読者はいくようにも、想像したいように想像を働かせることができます。そのため、今後のフィクションの原型になるかのようです。
 でも、本書と並行して、「ヘタリア」も少し読んでいたんですけど、あまりの違いように笑ってしまいますね。イタリア人って昔は偉かったんだなあ、なんて思ってしまいます。