ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『失踪当時の服装は』ヒラリー・ウォー、山本恭子訳、東京創元社、1952→1960(○+)

失踪当時の服装は (創元推理文庫 152-1)

失踪当時の服装は (創元推理文庫 152-1)

■リーダビリティの高い警察小説
 アメリカのマサチューセッツ州の女子大生の失踪を追った、捜査を綿密に描いた警察小説。うーん、もし翻訳当時に読んでいたら、もっと警察小説の傑作として、評価が高かったと思います。とにかく、展開がスピーディでかつリーダビリティが高い。エド・マクの初期やフロスト警部シリーズと同等のレベルです。

 1950年3月3日金曜日、マサチューセッツ州のカレッジの一年生で18歳のマリリン・ロウエル・ミッチェルが失踪した。女子寮のルームメイトが警察に通報し、警察本署は近隣各州に捜索手配を行った。警察署長フォードは、彼女に関わりがあった男性を中心にかたっぱしりに捜査を行うのだが…。 

 アリバイを調査しているとき、この学校のカリキュラムを調査していましたが、そのなかで「リズム体操」というのがありました。『グロテスク』でも名門Q女子校の伝統として行われる「リズミック体操」と同じなんでしょう。源流は同じなんでしょうねえ。