ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 「なんて素敵にジャパネスク」 作家の氷室冴子さん死去

「なんて素敵(すてき)にジャパネスク」などで少女小説のブームを担った作家の氷室冴子(ひむろ・さえこ、本名碓井小恵子〈うすい・さえこ〉)さんが6日、肺がんで死去した。51歳だった。葬儀は10日午後9時30分から東京都新宿区早稲田町77の龍善寺で。 喪主は姉の木根利恵子さん。
引用元 http://www.asahi.com/obituaries/update/0606/TKY200806060232.html

 やはりショックを受けるニュースです。氷室冴子さんの小説を読んでいたのは、高校時代の3年間だけでしたが、そのハマり度はかなり大きなものでした。『雑居時代』『なぎさボーイ』『多恵子ガール』『なんて素敵にジャパネスク』シリーズなど。高校を卒業して、まったく読まなくなったのが不思議なほどでした。何度が手にはしたのですが、文章そのものが受け付けなくなっていたのでした。それでも悲しいものです。この人は天才だったと思う。少なくとも直木賞を受賞していてもおかしくないぐらいの。ご冥福をお祈りいたします。

 高校当時、クリスティや初期クイーンなど謎解きミステリを読みまくって、その構造に飽きてしまい、何を読んでも面白いと感じなくなってしまったころ、『なんて素敵にジャパネスク2』を読んだとき、その二転三転する物語に「これでいいのだ」と感動したのを覚えています。しかし、氷室冴子を読んでいるとは、誰一人言えませんでした…。

 いま、Wikipediaを見ると、すでに反映されていました。「従って大塚英志のいうまんが的リアリズムは、新井素子と氷室によってコバルト文庫に導入されたとみるべきだろう」という分析は、正しいと思います。二人は同時期に、ティーンズノベル少女小説家は少し違和感があります)のなかで中心的な位置にいましたが、作風も小説に対するアプローチも異なっていましたから。