ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『魔法』クリストファー・プリースト、古沢嘉道訳、早川書房、1984・1985→2005(○+)

魔法 (ハヤカワ文庫FT)

魔法 (ハヤカワ文庫FT)

 『奇術師』で大いなる評価を得たプリーストの幻想小説。『奇術師』を読んで気に入った人には魅力的でしょうが、ミステリテイストを求める人には向いていないかも。私は、『奇術師』がかなり気に入ったので、書店で見かけて購入。『奇術師』ばりの騙しがあるのかなと一人称のときは気にして読んでましたが…。ちょっとゴダートに似ているかも。結末になって、もう一度最初から読んでしまいました。それでも『奇術師』のとき同様、「ちょっと狡いなあ」と思ってしまった私はミステリ脳なんでしょうねえ。

 ところで気になったところで、しばしば使っている「物理療法」「物理療法室」という言葉。これは「理学療法」であり「機能訓練室」だと思うんですけどねえ。辞典で調べれば、すぐ分かることなんですけどねえ。増刷のときは、これだけは修正してほしいなあ。