ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

作品の評価は難しい

 短編ミステリを読みたいと思い、昔、光文社から発行されていた海外ミステリ専門誌『EQ』(「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」と呼ぶのか?)の1997年11月号を書棚の奥の奥のほうから引っ張り出してきた。通巻120号で創刊20周年記念特大号として特集「翻訳ミステリーの20年――傑作短編ベスト30/現代ミステリー作家事典[海外編]」が組まれている。

 当時、『EQ』は、記憶だと、海外ミステリ半分、日本ミステリ半分で島田荘司氏や笠井潔氏の長篇が分割掲載されていた。競合誌は翻訳ミステリ雑誌の老舗『ハヤカワ・ミステリマガジン』で、私は2冊購入するほど熱心ではなく、『ハヤカワ』だけを購入していた(といっても、『ハヤカワ』も早々に買わなくなってしまったのだけど)。でも、まあ、読むのは書評のみで、小説はよっぽど興味がなければ飛ばしていた。

 それで、気が向いて、その『EQ』をパラパラめくっていたら、その書評コーナーでは★印で評価していた。その基準が以下の通りであった。

★ 凡作、時間のムダづかい
★★ 斜め読みで十分です
★★★ 水準作、一読の価値あり
★★★★ 本年度ベストテン候補
★★★★★ 本年度ベストスリー確実

 小説であれ、映画であれ、作品の評価は難しいもので、点数や★印でランク付けをしてもらえると、それをそのまま鵜呑みにする訳じゃないけれど、一応の指針にできるし、何しろ分かりやすい。このブログでも、私は「○・◎」などで評価しているけど、あまり好ましいとは思っていない。どんなものでも、著者や編集者は努力しているのを知っているから。なるべく、プラス評価だけしたい。

 話はそれたけど、この『EQ』の評価基準は厳しいし、何となく世間の評価指針とちぐはぐのような気がする。★★★で「水準作」というのは理解できるけど、それが「一読の価値あり」とイコールなんて普通のひとは思うのかな? ★★★が水準作、★★★☆(☆=★半分)が一読の価値ありなら、ちょっと理解できる。今のアマゾンなんかみると、それぞれ、★が一つ上乗せされているよね。★★★★★が多すぎるように感じる。

 まあ、それで、何が言いたいかというと、昔の人は厳しかったのだなと感じたこと。私は歳をとればとるほど、悪口を言われたりするとすぐに傷ついて、こころが弱くなってしまったのかなあ。どうでもいいことだけど。

 もう一つ、★なのか☆なのか、「星半分」はどちらなんでしょう?