- 作者: ディーン・R.クーンツ,Dean R. Koontz,大出健
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1996/07
- メディア: 文庫
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1980年代におけるエンターテイメント小説のクーンツなりの分析を含めた売れる小説の描き方を示した本で、なかなか面白い。ベーシックな部分では現在と同じではないでしょうか。でも、『ウィスパーズ』を執筆していた、あるいは発行された時期と重複していたのでしょう、例としてしばしば挙げられていますが、『ウィスパーズ』はつまらなかったんだよなあ…。
本書で、アメリカで生き残る作家として、ジェイムズ・M・ケイン、レイモンド・チャンドラー、ジョン・D・マクドナルド、ロバート・ハインライン、シオドア・スタージョンなどが挙げられているところが興味深いところ。とくに、ケインについては激賞しています。こればかりは、原文を味わえないと理解するのは難しいのかな。
プロットについて、ファースト・シーンの大切さ、主人公を追いつめることが重要、偶然の一致を避けること、アクション・シーンの必要性、主人公の資質について、キャラの作り方、動機づけを強くする、文体についてなど、教えることができることについて書かれています。
また、例えばミステリーにおける注意事項として以下を挙げています。
(1)第1章で犯罪は起こっているか?
(2)主人公は第1章で登場するか?
(3)主人公には捜査に乗り出す動機があるか?
(4)登場する犯罪は、凶悪な犯罪か?
(5)殺しの方法や死体の発見のされ方は斬新か?
(6)第2章までに容疑者を登場させているか?
(7)第3章までに第2の容疑者が登場するか?
(8)犯人割り出しのための、道理にかなった手がかりは残しているか?
(9)真犯人は誰かという期待感で緊張を生み出せ
(10)主人公を捜査の壁に突き当たらせよ
(11)警察や鑑識の捜査手続きは本格的か?
(12)たなぼた式解決法は最悪だ
(13)犯人の正体は最後の最後まで明かすな
(14)犯人の正体暴露は事件を通じて行え
(15)無駄な尋問や捜査をなくせ
うーん、どうなんでしょう? 当たり前といっちゃあ、当たり前のような気がする…。