ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『死者たちの礼拝』コリン・デクスター、大庭忠男訳、早川書房、1979→1980→1992(○+)

 コリン・デクスターの全14作中第4作目。モース主任警部もの。CWAシルヴァー・ダガー賞作。1979年に原著が発行されて、その翌年には翻訳されているということは、非常に人気があったんですね。このシリーズは、モースのアクロバットな推理を読むというよりは、垂れ流しの妄想を読んでいる感じがします。私は、『ウッドストック行最終バス』『キドリントンから消えた娘』の二つの長篇、短編集『モース警部、最大の事件』を読んでいますが、あまり面白いと感じず、相性が悪いのですが…。

死者たちの礼拝 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死者たちの礼拝 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 モースが休暇中気まぐれに教会を訪れた。モースは、昨年その教会で、礼拝中の賛美歌を歌っている間に教区委員のジョーゼフスがナイフで刺殺されたが、検死で被害者は致死量のモルヒネを飲んでいたことがわかったという奇妙な事件を知った。その殺人事件の検死確認をしたオルガン演奏者のモリスとジョーゼフス夫人がそろって引っ越してしまったことを聞いた。されに、その教会の牧師ライオネル・ロースンは昨年教会の塔から墜落死していたことを知った。モースは、この奇妙な連続死について独自に捜査を進めることにした。
 すると、教会の塔の屋根に、顔がカラスにつつかれて骨になっていた身元不明の死体を発見したのである…。その死体はモリスではないかと推理するのだが…。さらに少年やジョーゼフス夫人が殺されるという、大量連続殺人事件に発展していったのである。

 本作は、とにかく複雑なパズラー。5人が共犯者であるという事件そのものも複雑なのですが、それをまた複雑に構成して描写しています(改行が少ないし…)。そのような歯ごたえのある作品が好きな方にはお勧めです。私は、このテイストを味わえる作家は少ないですからね、何作か読むことになるでしょう。