ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『死因不明社会―Aiが拓く新しい医療』海堂 尊、講談社、2007(○)

 『チーム・バチスタの栄光』の著者が書く新たな死亡診断システムを提唱しています。発売当時、さまざまな新聞・雑誌などでインタビューを受けていましたね。それだけ、社会問題として取り上げやすいテーマでありますし、現在の診断システムの惨さが際だっていると言うことでしょう。

死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)

死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)

 とはいうものの、日本の遺体解剖率は2%で、残りの98%は体の表面を観察するだけの死亡診断が下されているということ、その原因を解説しているところなど、まあ当たり前といえば当たり前のことですが、興味深いものでした。後半から、著者は画像診断を駆使した「死亡時画像病理診断(Ai)」の解説をしていっています。時折、医師よりの考え方の代表なんだなと感じます。

 しかし、著者は、厚労省の役人を本当に嫌っていますね。まあ、そのせいで医療崩壊が起きたのですから、しょうがないですが。