ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『「狂い」の構造』春日武彦/平山夢明、扶桑社、2007(○+)

 精神科医と幻想ホラー作家の「狂気」をテーマにした対談集。学究的なものじゃないので、気軽に読むことができます。てっきり、平山氏のカウンセリング的な要素が大きいのかと思ったら、そうではありませんでした。

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

平山 〈中略〉でも、あいつらなんでこんなに僕らのエネルギーを吸っていくんですか? ものすごく吸いますよ。すごく吸わない? 少し相手にしただけでもトライアスロンやったぐらい疲れちゃうよ。
春日 基本的にね、相手をさ自分と同じレベルと一応想定して接するからさ。あの落差は埋めきれないよね。(49頁より)

 そういう人、たまにいますね。一緒にいるとどっと疲れちゃう人。「そうそう、いるいる」と思っちゃいましたね。しかも、そういう人、頭が良くて、仕事ができるんですよねえ…。だから、付き合わなくちゃならない時があるから、やっかいです。

平山 〈中略〉結局、いつも疑問に思うのは、そんなに精神医療とか、カウンセリング力っていうのは、人間の根本を激変させるほど強力なものなんだろうかと。
春日 いやあ、ないない、ないない。(58頁より)

 そんな、ぶっちゃけちゃっていいですかね…。面白いけど。この後、もっと過激な内容になるんですよね。ああ、やっぱりなあ、なんていう感じにさせられます。もっと、治療によってできること、できないことを明確に記さないといろんな人に叱られますよ先生、と言いたくなります…。

 でも、まあ、本書を読んで、とりあえず「面倒くさい」とは言わない、なるべく部屋を掃除する、この2点は気にしようかと思いますた。