ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『アラビアの夜の種族?・?・?』古川日出男、角川書店、2006(○)

 2002年発表の作品で、第55回日本推理作家協会賞・第23回日本SF大賞受賞作。推理作家協会賞を受賞したからといって推理小説というよりは、半村良系譜を継ぐ、伝奇小説であり、そういう流れで受賞したのでしょう。

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫)

 ナポレオンがエジプトに遠征していた時代、フランス人に献上するものとして、古代に作成された物語集ではどうか。その美しい稀代の書物『災いの書』は喪われてしまったが、探して、フランス語に翻訳することをたくらむ、エジプト人の奴隷アイユーブ。許可を得たアイユーブは、早速「偽書」の制作にとりかかる――。その物語は、「もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契約の物語」から、毎夜毎夜20夜以上に渡って語られる…。