ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ゼロ年代の想像力』宇野常寛、早川書房、2008(○+)

 新世代の著者が書く話題の社会批評集。小説、映画、マンガ、テレビドラマ、アニメなどをはじめとする膨大なサブカルチャー群を紹介した上で、永遠の課題である「どこから来て、今どこにいて、どこへ行くのか」を語った大著。本書の今を語る「サヴァイブ感」と「決断主義」というキーワードから、新しい局面が拓かれるのでしょう。まあ、そのぐらい刺激的な論考です。…ちょっと、自説の正当化を図りたいばかりに、あるいは自分が救われたいばかりに、作品のセレクトが偏っているのではないかとも感じます。

ゼロ年代の想像力

ゼロ年代の想像力

 個人的には、「涼宮ハルヒ・シリーズ」が何故あれだけのヒットになったか、そのヒントを与えてくれました。本書のとおりだとすると、「ハルヒ」はそうとうな計算がなされていて、それが思わぬ方向に時代にうまくシンクロしてしまった作品なんだなあ。(これもちょっと続きます)