ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『硝子のハンマー』貴志祐介、角川書店、2007(○+)

 『黒い家』『青の炎』の作家の日本推理作家協会賞を受賞した本格謎解きミステリ。解説代わりに掲載されていた法月綸太郎氏のインタビューが興味深かったので購入しました。

 ある日曜日、港区の十二階建てのオフィスビルの最上階で、会社社長が何者かに撲殺された。犯行現場である社長室前の廊下には監視カメラが設置されており、犯行時刻の前後には、誰も出入りしていなかった。つまり殺人が起きた部屋は密室だったのである。被害者である会社社長は、正午に部屋で昼寝をしていた。同フロアには社長と専務、専務秘書がいた。容疑者は彼らに絞られたのだが…。司法解剖では社長の遺体から睡眠薬が検出されている。犯人がそれをしこんだのか。弁護士の青砥純子は防犯コンサルタントの榎本経に謎を解くように依頼する。

 フーダニットというよりもハウダニットをメインとした謎解き小説。私はフーダニットに重点を置いて読んでいたので、終盤の『緋色の研究』のようなネタ晴らしにはちょっと肩すかし。殺人方法についても、ちょっと無理があるんじゃないかなあとも感じてしまったけど、改めて会社で窓を見ると、ちょっと可能性もあるかなと感じたり。

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)