ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『昭和出版残侠伝』嵐山光三郎、筑摩書房、2006

 嵐山氏が平凡社を退職し、青人社を立ち上げ、「ドリブ」編集長をしていたころの自伝的物語。「ドリブ」は中坊のころ、コンビニなどでやたら売られていたので、手にとって読んで、「なんかいい加減なB流雑誌だなあ」とあまり興味をもっていませんでした。その頃のことが描かれ、非常に興味深かったですね。☆☆☆★ですね。

 1980年頃は「とらばーゆ」「COSMOPOLITAN」「ビッグ・トゥモロー」「ブルータス」が好調な時代、椎名誠が昭和軽薄体で人気絶頂であり、「フォーカス」が創刊され、ベストセラーは『窓際のトットちゃん』『哀愁の町に霧が降るのだ』、直木賞が『人間万事塞翁が丙午』だった。
 1981年、老舗出版社平凡社は経営危機におちいって希望退職者を募り80名が退職した。そのなかで雑誌部の頭領の通称ババボス、「太陽」編集長の通称バカボン(嵐山氏のこと)、副編集長の筒井ガンコ堂氏などを中心に新しい出版社である青人社を立ち上げ、「四季の手帖」を創刊し、さらに「ドリブ」を「二十代後半から三十代サラリーマンむけの実践的面白雑誌。サラリーマンが会社でかかえている諸問題を本音として考える。どうやって出世するか。子分の作り方、社内敵撃退マル秘指南。うまい交際術、嫌われないための智恵、あっと驚く企画力、会社をクビにならぬための十カ条」(71頁より)をテーマに創刊し、好評を得たのである。

昭和出版残侠伝

昭和出版残侠伝