ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2008年のベスト本

 今年は優れているとか優れているのではなく、好みの作品を挙げてみました。残された時間が短くなってきたせいか、好みではない作品を手にとらなくなったということでしょう。

■『魔性の殺人』ローレンス・サンダーズ、中上守訳、早川書房…長大な作品だったにもかかわらず、長さをみじんも感じさせない読みやすさ。また、リアルな警察小説・強烈なスリラー小説・サイコサスペンス小説の走り・ハードボイルド小説風味など盛りだくさんでした。

■『ギャルトン事件』ロス・マクドナルド中田耕治訳、早川書房…やはりロス・マクの「人の死に行く道」小説はロス・マクでしか味わえません。

■『とらドラ! 1〜9』竹宮ゆゆこアスキー・メディアワークス…恥ずかしながら今年のベスト小説です。小説というものは自由なのだ、ということをもっとも感じさせてくれました。来年1月のスピンオフ、3月の10巻の発売が待ちきれません。

■『興奮』ディック・フランシス,菊池光訳、早川書房…今更感がありますが、もっとも強烈なスリラー小説。あのシチュエーションを考えただけでも名作の価値があります。

■『嘲笑うゴリラ』E・S・ガードナー、峯岸久訳、早川書房…ガードナーの小説の代表として。

■『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』ギルバート・アデア、松本依子訳、早川書房…海外ミステリの代表として。

■『魔法』クリストファー・プリースト、古沢嘉道訳、早川書房…このような一粒で二度おいしい小説は、私の根が貧乏性のためか、お得感があります。

■『ZOO 1・2』乙一集英社…第一話の女の子の叫び声が未だに木霊します。

■『失踪当時の服装は』ヒラリー・ウォー、山本恭子訳、東京創元社…リーダビリティしかない小説。しかし、それがすごい。

■『快盗タナーは眠らない』ローレンス・ブロック、阿部里美訳、東京創元社…このような肩の凝らないエンターテインメントは貴重です。

■『百番目の男』ジャック・カーリイ,三角和代訳,文藝春秋…思わず犯人に共感してしまいました。