ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『相棒 Season 7』「第11話 都県境の町で」

 東京都町田市午前6時30分、拳銃所持の逃亡犯を特命課の右京を含む警視庁は追っていたが、犯人の長峰は銃を発砲し逃走。警視庁は神奈川県警に捜索の強力を要請した。

 一方、町田市に隣接する川崎市の一軒家の藤堂家には、小学生の娘を誘拐したので12時までに5億円を用意しろという脅迫電話がかかってきた。藤堂はただちに神奈川県警に通報した。藤堂は12時までに身代金を用意できるということから、犯人はその5億の存在を知っている者と警察は推理する。映像では、犯人は女でボイスチェンジャーで誰だか分からないよう電話している。

 拳銃所持の逃亡犯は、川崎市で目撃された。ある一軒家に女を人質にして潜伏する犯人だが、車のボンネットが熱をもっていたにもかかわらず留守宅であるのを不信に思った右京は、その立てこもりを発見する。極秘裏に捜査陣を集めて、その家を囲み、逃亡犯を逮捕する。

 その捜査の途中で、怪しげな一軒家を感じた右京は、その家――藤堂家に入り込み、警察に発見され、誘拐事件に捜査に協力する。逆探知によると犯人はみなとみらいの基地局からかけていること、背景にヘリコプターの音がすることがわかった。

 5億円について調査すると、藤堂は不動産屋で、政治がらみの土地の売買にかかわる裏金らしい。家政婦によると藤堂は株で大損して大きな借金があること、また藤堂には愛人がいるらしいが見つからないことから、その愛人が犯人で、5億円を目的とした藤堂の狂言誘拐ではないかという疑う神奈川県警。

 藤堂の目の前で、5億円の紙幣番号を録画するように右京は指示する。犯人から、横浜赤レンガ倉庫まで金を持ってくるように指示を受ける。そこまで車で持っていくと、犯人より車を置いて出て行くよう指示があり、車ごと5億円を盗まれてしまったのだが…。

 冒頭はモジュラー式警察モノかと思いきや、そのものがトリックで最後にどんでん返しがある。このトリックそのものは、最後の右京による謎解きで明かされるのであるが、よく見ていれば、視聴者にも解けるようになっている。私はボーっとながら見だったので少し変に感じつつもスルーしてしまってしいました。この犯人一味が外界と遮断して騙すというトリックは古くからあるものであるが、それを実現するために、現在の裏モノといえる電波技術を用いるなど工夫されている。きちんと不自然さも残し、ミスディレクションが誘導されているのも好ましい。今シーズン一番の出来で☆☆☆☆★。