ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『相棒 Season 7』「第12話 逃亡者」

 ある夜の9時30分頃、歩道橋の上で男女2人の言い争いが起こり、それを止めようとした若い女が、誤って歩道橋から突き落とされた。若い女は打ち所が悪そうで出血が激しく、携帯電話をかけたが、カップルの男は境内電話を消してしまった。若い女はそのまま死んだようだった。

 警視庁捜査一課は、捜査を始める。110番に通報した携帯電話には被害者以外の指紋が一つあったこと、警察の録音音声で、男の声がスペイン語で「死んでいる」、女は「NO」といい、引き続きスペイン語で「黙れ」と残されていた。その指紋を照合すると日系外国人のマルコ・イノウエと判明した。

 その夜、マルコ・イノウエと一緒にいた女によると、歩道橋で言い争いをしていたところ、ケンカを止めに入った日本人の女を突き飛ばしてしまい、階段を転げ落ちて死んでしまったという。その後、女は救急車を呼んだが、男はそのまま自国に逃げたという。

 その国と日本は犯罪者の引き渡し条約を結んでおらず、捜査することも逮捕することも出来なかったため、捜査は暗礁に乗り上げるのだが…。死んだ若い女には、志茂川という恋人がおり、マルコを追って、その国へ向かったという。その3日後マルコが殺されたという報道があった。日本に戻った志茂川は、自分がマルコを殺したと告白した。マルコは死の直前に東洋人の背の高い男と言い争っていたと目撃されていた。

 一方、事件に対して憤っていた左刑事が殺したと推理する右京。左はその国へ行っていたことが分かった。左を逮捕し、殺人を否認するよう警視長官に命令する官房長官。それではいけないと主張する右京だが…。

 引き渡し条約を結ばなかった国同士で、事故による殺人が起きたらどうなるかというのがテーマ。捜査権がないという皮肉を示して、なかなか面白い。犯人は、一人目かと思いきや、二人目がおり、最後にマルコの恋人エリだったというどんでん返しがあり、まあ作り物めいているけど、そのように推理できる根拠が示されている。☆☆☆★というところ。