フロスト警部シリーズ第4作目。上下巻で2200円というのはちょっとキツいけど、とにかくこのシリーズほど抱腹絶倒という言葉が似合うシリーズはありません。読み始める前は長さにうんざり気味でも、一度読み始めるとこの饒舌な文体にニヤニヤが泊まらなくなります。
ワーカホリックのフロスト警部が同僚や部下を自らのペースに合わせて働かせてしまって、ほとほとひどい目にあってしまう。警察は日本のブラック企業並みですね。しかし、誰も文句を言えない。上肢も部下もほとほどに困ってしまうけど、よれよれのスーツにちょっとしたメタボ腹で、下品ともいえる「減らず口」を冗談も交えて喋る喋るフロストには。だって、大した根拠もないのに、思いつきで捜査を行い、最後は結局犯人を逮捕してしまうから。まあ、能力があるヤツには勝てないっていうことです。
少年の死体の発見、連続幼児殺傷事件、15歳少女誘拐事件、母子四人殺人事件など事件が次々と起こる起こる。それを並行して捜査して、一つひとつ片づけていきます。いつものシリーズと同じですね。その交通整理の手際の良さにも感心してしまいます。一つひとつの章を分析してみたいぐらい。また、フロストをはじめとするキャラクターがよい。そう、本シリーズはキャラクター小説といってもいいくらい、キャラが立っている。――というわけで、本書は、ラストシーンのよさも含めて、☆☆☆☆★といったところ。
- 作者: R.D.ウィングフィールド,R.D. Wingfield,芹澤恵
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