脳の仕組みを理解するものとして「予想脳」とう概念仮説を解説したもの。おおざっぱに言ってしまえば、人間の脳は物事を予想して判断処理をしているという考え方(たぶん正確ではない)は、演者は忘れてしまったけれど、数年前に行われた脳と運動の講演において、同じような概念を訊いたことがあるので、それについてかなと思ったのである。実際は違う者だったけれど。
脳の処理の曖昧さから脳の仕組みを考える脳科学は、証拠から犯人を追いつめる謎解きミステリのようで面白い。本書も、あくまで仮説だから、もっともらしいようにも、あるいはトンデモ仮説のようにも感じる。本書では、脳の働きにはテンプレがあり、それがある程度経験的に予想をして、実際には細かい微調整をしているという考え方は面白い。しかし、その仕組みを追った前半が面白く、後半は社会を結びつけようとしていて、正直ピンとこない。☆☆☆★といったところ。
岩波科学ライブラリー 予想脳 Predicting Brains (岩波科学ライブラリー (111))
- 作者: 藤井直敬
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/10/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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