ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~』田中ロミオ、小学館、2008

 妄想なのかSFなのかいまいち判断できない学園ラブコメ小説。メタノベルとしても読めるのだけど。

 高校デビューして一週間でクラス内のヒエラルヒー構築に成功した佐藤一郎は、教科書を持ち帰るのを忘れた日の夜、学校に忍び込んだ。教室には、杖を持ち、青のフード付きのロングコートを羽織った、美しい少女がいた。その魔女に話しかけたところ、一郎を「現象界人」「リサーチャー」「異世界から〈竜端子〉を回収するため、この世界に送り込まれた」とよく分からないことをいう。翌日、登校すると、その少女、佐藤良子が同じコスプレ衣装で昨日の続きを語り出したのである――。

 最近のライトノベルやアニメを鑑賞していると、可愛いしルックスがよいのだけど、正確や行動がどう考えてもクラスメイトなど周囲から好かれていないのではないか、というヒロイン・ヒーローがいます。例えを挙げると、ハルヒや大河なのですが。もっといえば、たいていのロリ系・可愛い系の女の子も含めても良いのですが。これが主人公のストーリーならば面白いドラマとして成り立っているわけですけど、周りから見ると単なるエキセントリックなイヤな性格のキャラと感じているかもしれない。ハルヒなど読みながら、実際に存在したら、いじめを受けるよな、と思うわけで、しかも作者がそれを示唆すらしているようにも受けとれます。本作品は、作者がそれを意識して、周囲の視点から描写してみたようなストーリーとなっています。それが、興味深かったですね。

 ところで、装画が、キャラに魅力があって、少しエロくって、動きがあって、良いですなあ。

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

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