ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『ころがるダイス』E・S・ガードナー、田中融二訳、早川書房、1939→1977

 ペリイ・メイスン・シリーズ82作中15作目。ストーリーはなかなか複雑であり、後半の法廷シーンでは、メイスンが綱渡りをしているかのようで迫力がある。

 メイスンのもとに、冒険によって資産を得て大金持ちの年寄りの伯父オルデン・リーズが、40〜50代のエミリイ・ミリカントと婚約したのだが、遺産の分け前が減ることを危惧した親戚たちが、オルデンを痴呆患者にしたて禁治産者にしようとしている、またリーズが何者かに脅迫を受けているため、それを調査してくれないかとエミリイ自身が依頼に現れた。家族親族など一族による相続遺産争い、冒険中の事故による人物の入れ替わり、殺人現場のアリバイの矛盾、過去の行動による脅迫行為など、事件が入り乱れる。

 本書で、検事か判事かに、メイスンが「もし依頼人が犯人だったらどうするのか」と詰めよられて、堂々と答えるシーンがあったのだけど、どこだか探しても見つかりませんでした。その疑問は、メイスン・シリーズやメイスンのテレビドラマを見るたびに持っていた疑問だったから、覚えていなくちゃ行けないんですけど…。メイスンならさもありなんという答えだったと思いますが。

ころがるダイス (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 3-8))

ころがるダイス (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 3-8))