ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『殺人のすすめ』 レジナルド・ヒル、秋津知子訳、早川書房、1971→1980

 デブのアンドルー・ダルジール警視シリーズの『社交好きの女』に続く第2作目の作品。ゆったりした展開、どこにもいそうでいないキャラクターなど、いかにもイギリスらしい。

 大学の庭園で発見された頭蓋骨の遺骸は、大学の前学長のミス・ガーリング。殺されブロンズ像の台座の下に埋められていた。死体を調べると鈍器のようなもので叩かれたらしい。ガーリングは、5年前オーストリアのスキー城で雪崩にあって事故で死んだものと思われていた。その捜査中、同じ大学の女子学生アニタ・シューアルが近辺のゴルフコースの砂丘において全裸の死体で発見された。死因は、顔面を砂に押しつけられての窒息死で、深夜に殺されたらしいが、性的暴行は受けていなかった。ダルジール警視とパスコー部長刑事のコンビは、その謎に挑むのだが…。

 大学の教員や学生など登場人物がたくさん現れるけれど、誰が誰なんだか、区別できるような描写がなく、名前でしか判別できない。私がイギリスの大学の仕組みを知らないだけでなく、読解力がないだけだといわれれば、そうなんだけど――生物学科や神学科、史学科、社会学科の教授などが出てくるんだけど、助教授(今は准教授)や講師などがいるからなあ、と訝しく思ったり。

 まあ、それでも5年前の死体が発見されたところから、事件が転がり、新たな事件が生まれる展開で、まあまあいの意外性あり。☆☆☆★といったところ。

殺人のすすめ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1356)

殺人のすすめ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1356)