ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『詩的私的ジャック』 森 博嗣、講談社、1997

 『詩的私的ジャック Jack the Poetical Private』はS&Mシリーズ第4作目。4つの連続密室殺人という独創的な設定のミステリ。

 僕が、森作品を読むのは、『冷たい密室と博士たち』『笑わない数学者』に続いて3作目。そのどれもが、謎解きミステリとしては、極めてオーソドックスな内容であり、トリックの良し悪しはあるものの、読者に対して誠実で、そういうものを求める気分のときにはピッタリで、非常に好ましいですね。

 本書の密室をどのようにしたのかがよくわからなかったのですが…。あれで密室ができるのかなあ…。すみません。そういう私が評価するのはアレと思ってください。1つ目の殺人犯と2つ目からの殺人犯が異なるなど設定の新規さと犯人像の面白さで☆☆☆★です。

 そういえば、50ページにハンドラーに言及してましたね。

「西之園さん、最近、何読んだ?」一番近くにいた岡部がきいてきた。
「全然……。面白いのに当たらないの。岡部君のお薦めはない?」萌絵が横目で微笑む。
「そうだね……、西之園さん好みはハンドラーかな?」
「だめ、全部読んだから」そう答えて、萌絵は反対側を見ていた。

詩的私的ジャック (講談社ノベルス)

詩的私的ジャック (講談社ノベルス)