ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『季刊S (エス) 2009年 07月号』飛鳥新社、2009-06

 アニメ『とらドラ!』の監督の長井龍雪さんとキャラクターデザイン・総作画監督田中将賀さんのインタビューを立ち読みしたところ、あまりにも素晴らしい記事でした。インタビュアーが『とらドラ!』をきちんと理解し、ファンが知りたいところを的確に聞いています。インタビュアーの名前が掲載されていないのですが、おそらく『季刊S』の編集長なのでしょうか? 一読後、「自分にこのようなインタビューはできないな」とちょっと落ち込みましたね。

 また、ストーリーの紹介とそれに関するシーン+絵コンテが掲載されていて、そのキャプションが細かいこと! そして、その内容の濃いこと! 実に愛情が伝わってきます。

――クマの竜児を実乃梨のもとに送り出したあと、一人になった大河は涙が出て、泣きながら外に飛び出して…。
田中 本当にもう、引っ張って引っ張って……あそこで落とす、みたいな。
長井 あの泣きの芝居は良かったですね。技術的にも完璧でしたよ、田中さん! すごく褒めたんですよ。
田中 おかげであの回が終わってから、僕は当分抜け殻になりましたよ。それくらい十九話は変に達成感がありました。大河の泣き芝居とか、その後走っていくシーンも含めて、かなり精魂尽きた感じだったので、その後どうやってモチベーションを保つか本当に大変でした。(64ページより)

 19話の大河が思わず泣くシーンのレイアウト制作監修正が掲載されているのですが、それだけでも値段の価値がありますね。そのくらい迫力があります。長井監督は、「アニメのキャラクターにいかに生っぽい表現をさせるか? というのがテーマでもあったんです」(60ページより)というのは、成功していました。実をいいますと、『エヴァ:破』を見ながら、キャラクターの感情の表現においては、『とらドラ!』に負けているなと感じました。なぜなら、エヴァは誰でも同じような表情変化をするんですよね…。

 それにしても、この変形AB判、4色およそ160ページ+1色およそ16ページで、ポスターも付いて、よい用紙も使用して、どのくらいのコストをかけているのでしょう? イラストはアリものを使用しているとしても…。ペイラインはどのくらいなのでしょう? 編集スタッフは外部スタッフがいるにしても、編集長一人なのかな? うーん、羨ましい、手伝ってみたい。

季刊 S 2009年07月号(27号) [雑誌] ?

季刊 S 2009年07月号(27号) [雑誌] ?