ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『服用量に注意のこと』 ピーター・ラヴゼイ、中村保男・他訳、早川書房、2000

 イギリスの謎解きミステリ作家ピーター・ラヴゼイの第三短編集。

 収録作は、「そこに山があるから」「殿下とボートレース」「殿下と消防隊」「イースター・ボンネット事件」「クロンク夫人始末記」「勇敢な狩人」「大売り出しの殺人」「おしどり夫婦」「オドストックの呪い」「オウムは永遠に」「興醒まし」「プディングの真価」「空軍仲間」「一攫千金の夢」「ウェイズグース」「クリスマス・ツリーの殺人」の16編。

 それぞれの短編タイトルからもわかるように、殿下シリーズの謎解き短編、コンゲームめいた犯罪もの、皮肉なオチのある奇妙な味もの、ダイアモンド警視シリーズの謎解き短編+読者への挑戦状ものなど、「ラヴゼイ・バラエティ」です。

特別な傑作というわけではないけれど、それぞれが雑誌や新聞などの依頼原稿のようで、長くても40頁で手頃な長さであり、ツルツルと気楽に読むことができます。☆☆☆★です。

 良い短編を一つを選ぶとすれば、「空軍仲間」ですかね。書き手について、最後に明かされるところなどが、二重の意味をもっていました。むしろ、イギリスの作家でもバカバカしいネタで一本を仕上げてしまっているところが変に安心しますね。

服用量に注意のこと (ハヤカワ・ミステリ文庫)

服用量に注意のこと (ハヤカワ・ミステリ文庫)