タイトルから探偵ものかと思いきや、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の流れを受け継ぐいわゆるサスペンスものでした。
13歳の中学二年生の「あたし」こと大西葵は、人をふたり殺した、という告白から始まる。葵は、その殺人の経験から、「殺人者というのは少女には向かない職業だ」と思う。
葵はクラスでちょっと饒舌な人気者だった。しかし葵の父親は死んで、母親は再婚していた。その義父は結婚後の病気による障害で漁業の仕事ができなくなり、毎日昼間から酒を呑み家で寝ている生活を続けている。葵は「ママは怪物を飼っている」と思う。家では無口なあたしは、学校とどちらがホントのあたしなんだろうか。
ある日、クラスメートで学校では目立たないけど、学校外ではゴスロリファッションの宮乃下静香という少女に声をかけられ、海辺に打ち上げられたという死体を見に行くことを誘われる。暗い境遇に何となく共感した二人。静香は殺人についての本などを貸してくれた。
ある日、帰宅すると義父が、葵のアルバイトで貯めた金を盗もうとしていた…。静香は、殺してしまえばというのだが…。
中学生の夏休みの一日として、ゲーセンにいったあと、「ついでに本屋とCDショップを流して、カラオケに行って、モスでハンバーガーを食べた」という描写がありますが、地方を車で旅行してみますと、そんなショップが並んでおり、地元の人たちはどのように遊んでいるのだろうと想像していたのですが、それがリアルに描写されています。
解説の杉江松恋氏の「アレ」は本編でも言及しているから『わらの女』なんだろうけど、「ナニ」はパトリシア・ハイスミスの『見知らぬ乗客』だよな、たぶん。途中で似てるって思いましたからね。
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