ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『銀河英雄伝説 1・2』 田中芳樹

 SFとしても、ライトノベルとしても、評価の高いシリーズ。私は、高校時代から名のみは知っていたものの、もともとSF、とくにスペースオペラを苦手としていたため、手にとることはありませんでした。今回は、ライトノベルの名作として、また東京創元社で再刊されたのもあって、この長い物語を読もうという気になりました。

■『銀河英雄伝説2 野望篇』 田中芳樹東京創元社、1983→2007
■『銀河英雄伝説1 黎明編』 田中芳樹東京創元社、1982→2007

 宇宙暦8世紀末、人類は銀河帝国自由惑星同盟にわかれ抗争を繰り返していた。そのなかで、銀河帝国からはラインハルトが、自由惑星同盟からヤンが現れ、それぞれの事情のなかで抗争を繰り広げる。

 このような、宇宙戦争物を小説で読んだことが『ガンダム』くらいしかなかったので、どのように描写されているのか期待したのですが、意外と普通でした。まるで司馬遼太郎塩野七生のような歴史小説で、たんたんとした語り口でシーンが重ねられています。

 SF的な魅力というよりも、『坂の上の雲』や『ハンニバル戦記』のようにどのように戦術を記すか、キャラクターがいるのかなどが重点とされています。久しぶりに「物語」にたゆたったなという気分になりました。

銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)