殊能将之氏の第7作目の作品にして最新作。珠能先生の作品は、一筋縄ではいかず、肩すかしを喰らわせられます。また、特徴的で魅力的なのは文体なのではないでしょうか。シンプルで全く情緒的ではなく、そのうえ一つの言葉に複数の意味をもっているかのようで、読んでいる間は何か頭の中がグラグラしてきます。それゆえ、ストーリーそのものがよく理解できなくても、読まされてしまいます。
ストーリーとはいいますと、探偵の石動戯作とその助手のアントニオが、千葉のテーマパークのなかにあるフランスから運ばれ建てられた古城のシメール城を運営している会社から、呼ばれるところから始まる。その運営会社の社長の江里は、750年前のシメール城の城主である稲妻卿エドガー・ランペールが取り憑かれていて、「750年前に私を殺した犯人は誰なのかを調査してほしい」という依頼があったのだ。二人は、適当にでっち上げてしまおうとするのだが、古城の密室といわれる部屋で殺人が起こった。いっしょの部屋にいた江里が疑われるのだが…。
正直いって、どのように評価したらよいのか、わかりません。SFなのか、ミステリなのか不明な設定と展開。迷探偵ともいえる主人公。まったく推理することができないエンディング。私は、コントのように発想を愉しんで読みました。そういう意味で本書は、誰にも勧められるものではないのですが、☆☆☆★というところでしょう。さて、珠能氏の次作はいつ発行されるのでしょうか?
- 作者: 殊能将之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/08/11
- メディア: 文庫
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