ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『相棒 Season 8』「第2話 さよなら、バードランド」

 山奥の温泉旅館の一室で広田という男が撲殺された。広田は、20年前から行われている大学時代のジャズ研の3年に一度の集まりに参加し、旅館の一室で仕事をしていたところ背後から殴られたのである。偶然、特命係の二人はその旅館に宿泊しており、捜査を始める。

 広田が撲殺された推定時刻が5時30分から6時までの30分間で、容疑者として、広田が出資打ち切りを公言していた、『バードランド』という雑誌の編集長を務め、ジャズ研の一人である青柳という男が疑われたが、殺人時刻にレストランにいたところを特命係二人に目撃されていた。

 一方、ジャズ研の一人の黒木という男は、青柳がその時刻に電話をかけてきていて、鈴虫の鳴き声が聞こえたと証言した。しかし、鈴虫の鳴き声は電話の周波数では伝わらないことを知っていた右京は、黒木はなぜ鈴虫の声がすると嘘をついたのかと疑いをもちはじめる。また、黒木の妻はジャズ研の一人で他のメンバーの恋人であったり、人間関係に複雑な事情があるようだった……。

 右京は、黒木と青柳による交換殺人であり、それぞれがアリバイを保証しているのではないかと推理し、その通りだったのですが、それに一工夫を加えております。交換殺人ものは難しいのですが、よくよく考えてみると犯人にとって殺人は成功してもしなくてもよかったのではないかと思われるところもあり計画的には悪くもなく、☆☆☆というところでしょう。4名の容疑者が出てくるのですが、キャラ分けをしておらず、見分けがしづらいのが難点。キャラ立てをする尺がなく製作者の故意だと思われますが。