錯覚の研究の第一人者である大学教授の好田は、ロックバンドのセットの搬入会社に紛れて、テレビ局に侵入し、総務部に勤める山名と無人のスタジオで落ち合い、山名を階段から突き落とし殺した。その後急遽戻って、11時30分にテレビ番組収録に入った。
偶然、テレビ局に居合わせた右京と神戸は、好田が仕立ての良いスーツを着ているが、スポーツシューズを履いていることに違和感をもつ。香田のスケジュールをみると死んだ女のカレンダーのチェックとリンクしていたこと、女は恋人のことを「先生」と呼んでいたと証言を得たこと、女のケータイ電話の履歴をみると「コウダ」の名前が見つかったことから、好田が殺人犯ではないかと疑うのだが、殺害時刻は11時から11時25分の間だったことから、好田にアリバイがあるかと思われた。右京はアリバイ崩しを挑む――。
コロンボ式の冒頭で犯人が殺人を実行したところから始まるミステリ。錯覚を利用したトリックが使われたが、光による色覚を利用したもので、例えばビルとビルを間違えるとか、もっと大がかりなものを期待したためか、拍子抜けしてしまいました。状況証拠は犯人を示していたので、実行可能かを証明すればよいという設定だったのですからよいのかもしれません。だとしたら、あのような不確定要素が多い殺人方法を実行するのは、偶発的ならリアリティがあるけど、計画的のものですからねえ。☆☆☆というところです。