ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介,新潮社、2005→2008

 道尾秀介氏の第2作目の作品。書店をのぞくと文庫でじわじわ売れているようです。

 幻想小説と謎解き小説の折衷をいくミステリ小説。文体や世界観などは京極夏彦氏のようでもあり、技巧的なところは折原一氏のようでもあり、トリックそのものは歌野氏のある作品と似ていますが、完全オリジナルなものといっても差し支えないでしょう。オープニングの不可解な謎と現象から、最後に渡るまで、すべてがトリックとなっています。うーん、まいった、☆☆☆☆で、とくに女性などに勧められる作品です。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)