ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『相棒 Season 8』「第7話 鶏と牛刀」

 社会年金事務所の徴収課に勤める藤石という男が、ホテルの窓枠ごと外して、飛び降り自殺をした。藤石が警視庁の捜査二課の刑事の名刺を持っていたことが気になる右京は、鑑識課の米沢に事件の概要を伺うと、藤石の頭部と服にホテルの窓とは違うガラスの破片が発見された。殺人事件を疑う右京は捜査を始める。

 藤石は、死んだその日に恋人をホテルに呼び、「仕事を辞める」と言っていたこと、捜査二課の捜査理由から、保険料を着服し横領していたと疑いをもった。または、捜査二課への捜査阻止の圧力から、社会保険庁の組織的関与も考えられる。

 一方、凶器に使用されたガラスの破片についていた指紋を照合すると暴力団の六原という男のものだったことがわかった。暴力団事務所を銃刀法違反で捜査をすると社会保険の脱退届の控え、つまり死んだ暴力団関係者の年金を着服していたことがわかったのである――。藤石は暴力団と関係して横領を行っていたのか?

 前半は飛び降り自殺をめぐる殺人事件の捜査、後半は組織的犯罪を追う捜査となっています。残念ながら、右京が言い当てたきっかけで犯人は分かってしまったのですが――あれはあまりにも不自然でしたね――犯人の動機などいかにもありそうで面白かったですね。神戸についても、ちょっとした小ワザが最後に効いており、☆☆☆★というところです。